人生で一度は訪れたい。グランプラスの魅力

グランプラスとは、ベルギーのブリュッセルにある広場。
ヴェネツィアのサン・マルコ広場、シエーナのカンポ広場、そしてグランプラスが世界で最も美しい広場と言われている。

レ・ミゼラブルの著者である小説家ヴィクトル・ユゴーが「世界で一番豪華な広場」と称賛し、小説家や画家、映画監督と様々な分野の活動で著名なジャン・コクトーは「絢爛たる劇場」と賛美した。多くの著名人が賞賛し、古くから愛されているのだ。

広場にそびえる、歴史ある建築たち

14世紀には、プロテスタントの最初の殉教者たちが火あぶりにされた場所という歴史を持つグランプラス。当初は木造建築で構成された広場は、1695年フランスのルイ14世の命令によりヴィルロワ将軍に市庁舎以外を砲撃され、焼失した。その後、商人や職人たちが独立を守るため、そして集会場として使用する目的で現在の石造りの建物に再建され、現在に至る。市庁舎・王の家・ブラバン公爵の家・レストランやビール博物館で構成され、見どころは満載。

その迫力に息を呑む、市庁舎

15世紀に建造されたフランボワイヤン・ゴシック様式の建物。グランプラスの中で一番存在感のある建物なので、すぐに見つけられるはず。

 

 

ところで、ゴシック様式の建物は左右対称に造るのが一般的だが、この市庁舎はよくみると左右非対称。高さ96mの塔も建物の真ん中にはない。実はこれ、設計者の失敗によるものなのだとか。当初は現在の建物の左側しかなかったため、右側と塔を増築した。しかし出来上がった市庁舎を見てみると、左右非対称になっていることに気が付いたのだ。彼は後悔や恥ずかしさで、塔の頂上から自殺をしてしまったそう。

市庁舎の中は小さな博物館になっており、グランプラスについてよく知ることができる。そして塔の上にいるのは、金色に輝くドラゴンを退治するブリュッセルの守護天使。小さく見落としがちだが、訪れた際にはぜひ注目してみてほしい。また夜になるとライトアップされるため、昼間とは違った魅力を楽しむこともできる。

歴史と芸術を物語る、王の家

王の家と呼ばれているが、実際に王様が住んだことはない。かつてパン市場だった場所に公爵家の館が建てられ、16世紀前半に現在のようなゴシック様式になった。その後、スペイン・ハプスブルク家の支配時代にはスペイン政庁となり、新教徒監禁の牢舎としても利用されていたという。

 

 

1695年の砲撃により崩壊し、1767年に一度は修復された。しかし当初の外見と異なったため、1895年に16世紀前半の設計に忠実に再建され、今に至る。

現在は市立博物館として使われており、ブリュッセルに関する古文書・古地図・絵画・陶器などが数多く展示されている。またグランプラスから徒歩5分程の場所にある小便小僧ジュリアン君のために世界各国から贈られた700点を超える衣装も、この博物館で閲覧が可能だ。

文化の融合に触れる、ブラバン公爵の館

建物の柱に歴代のブラバン公の胸像が飾られていることからこの名前で呼ばれる。正面はバロックのイタリア・フラマン様式に変化をつけたコロサル様式で、イタリアの影響が強いが、駒形の屋根はフランスの影響を色濃く残し、建築の統合を感じられる。また上階にはホテルもあり、のんびりと全体を見渡すことができる。

 

 

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幸せを呼ぶ、セルクラースの像

市庁舎の脇の道にあるセルクラース像は、「触れると幸せになる」と言われている。セルクラースとは、1388年に暗殺された街の英雄。昔から「セルクラースの像に触れる人々は幸せになる」と言い伝えられているんだそう。そのため多くの人に触られツルツルになっているが、幸せを祈って是非触れてみてほしい。

広場を彩る個性豊かなイベントの数々

グランプラスの魅力は建築だけではない。季節ごとに開催されるイベントも人気があり、多くの人が訪れる。

花の芸術、フラワーカーペット

2年に一度、偶数年の8月中旬に行われる花の祭典。
ベルギーはベゴニアの世界最大の産地であり、75×24mのカーペットに60万株を超えるベコニアの花が使われる。広場で無料で楽しむこともできるが、おすすめは有料開放される市庁舎のバルコニー。上から全体を見渡すことができる。当日券もあるが、混み合っているためネットで事前予約をしていくとよいだろう。

ベルギー最大のクリスマスマーケット

グランプラスのクリスマスマーケットは、ベルギー最大と称される。夜には15分ほどのプロジェクションマッピング“音と光のショー”が行われ、昼間とは異なる幻想的な世界を味わえる・

他国の文化を発信するイベントも盛りだくさん。グランプラスでは一年を通して様々なイベントが催されているのだ。

 

 

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見た目の完成度だけでなく、建物の歴史や様々なイベントなど魅力的なグランプラス。訪れてこそ初めて分かるその魅力を存分に楽しんでほしい。