誰もが憧れる街、ロンドン。あなたのロンドン観光を、ハリー・ポッター巡りや芸術巡りだけで終わらせるのは、あまりにもったいない。せっかくロンドンに来たのなら、ぜひサッカー観戦を。きっと一生忘れることができない濃い時間になるだろう。
サッカー発祥の地、イングランド
サッカーの歴史を語る上で、イングランドを外すことはできない。なぜなら、イングランドがサッカー発祥の地であるからだ。
古くから、ボールを使った遊びや祭りは中国やイタリアなど世界各地で行われていた。その中で19世紀にロンドンでフットボールアソシエーション (通称:FA) が設立された。これがサッカーの起源とされている。FAは、イングランドの村で行われていた一つの球を用いた祭りを基に、現代サッカーに繋がるルールを初めて規定した。こうした歴史から、イングランドはサッカーの母国と言われているのだ。
地元でも広く愛される人気スポーツ
ロンドンにおいて、イギリスが発祥のラグビーやテニスはもちろん有名だが、やはり一番人気はサッカー。6万人を収容する大型サッカー“専用”スタジアムもある。週末は家族や友人、そして恋人とスタジアムで地元のチームを応援したり、スポーツバーやパブなどでお酒を飲みながら観戦するのが定番だ。
サッカーはもともと労働者階級に親しまれていたため、ゴルフやテニスといった富裕層が親しんでいたスポーツと比べ、敷居が低かったことも人気を後押ししている。さらに最近のイングランドでは、サッカー選手やチームに投資をする新しいビジネスが生まれるなど、新たなサッカー文化が広まりつつある。
ロンドンでのサッカー観戦、それは圧巻の空間
ロンドンと聞いて最初に何を思い浮かべるだろうか。おそらく芸術の街だろう。そんなロンドンでなぜサッカー応援を推すのか。その魅力に迫っていこう。
サッカーの聖地、ウェンブリースタジアム
イングランドで最も権威のあるスタジアム。それが、ウェンブリースタジアムだ。なんと9万人も収容することができ、イングランドにとどまらず世界を代表するサッカースタジアムである。イングランドがサッカー発祥地ということもあり、世界のサッカーファンからは親しみを込めて「サッカーの聖地」と呼ばれる。イングランド代表戦やイングランドとウェールズにあるアマチュア、プロの全クラブが参加するFA杯の決勝など、特別な機会にしか使用されない。
圧倒的な迫力と、ここでしか見られない絶景
サッカー観戦の魅力といえば、なんといっても圧倒的な迫力だ。こればかりはテレビ越しに感じることはできない。9万人によるイングランド国歌の斉唱を肌で感じる。それはきっと、一生に一度の忘れられない体験になるだろう。またスタジアム観戦だからこそ、選手の息づかいや闘争心むき出しに奮闘する姿、そして時には傷み苦しむ姿に、呼吸を忘れて見入ってしまう。サッカーを普段見ない方こそ、この迫力を生で感じた時の感動は計り知れないだろう。
さらに、イングランド代表の試合に行くとフラッグがもらえる。このフラッグは、イングランド応援の代名詞にもなっており、主に選手入場や国歌斉唱、ゴールが決まった時に一斉に振られる。ウェンブリースタジアムの赤い観客席は、白色のフラッグによって、まるで紙吹雪が舞っているかのような圧巻の光景に変わる。
コールリーダーや応援を仕切る集団の掛け声に合わせて太鼓を使うなど、力強いものが一般的なサッカー観戦。しかし、イングランド代表の応援はそれらと一線を画す。イングランド代表の応援には伝統の演奏部隊があり、サポーターはその演奏に合わせて応援歌を歌うスタイル。トランペットやホルンなど、メジャーな楽器を用いるので、サッカー観戦に行ったことがない人でもなじみやすい応援となっている。
肌で感じる、熱気と興奮
イングランド対チェコの一戦。最寄りのWembley Park駅から約300m。アクセスは良好なはずのスタジアムに向かう道のりは。9万人ものサポーターが集まり、カオスと化す。しかしその人波を抜けた先には、想像を絶するほど大きなウェンブリースタジアムが姿を現す。圧倒的な存在感にただただ魅了され、芸術の街ロンドンの名所と比較しても遜色ない。そんな印象を抱かせてくれることだろう。
試合開始時間が徐々に近づき、選手が入場する時にはサポーターの応援もフルスロットル。別世界に誘われているかのような高揚感がたまらない。9万人が白いフラッグを振り、歓声はスタジアムにこだまして、最高潮のサポーター。一方で、したたかに闘志を燃やし、冷静な表情の選手たち。激しい体のぶつけ合いに、観客を魅了する足技の数々。最後のホイッスルが鳴り、歓喜する勝者と涙する敗者。このコントラストこそ、私たちの心に響くサッカー観戦の醍醐味であるだろう。
世界でも有数の芸術の街、ロンドン。紳士的で落ち着いた人が多いのは事実だ。ただ、そんな彼らはスポーツへの熱さを胸の内に秘めているのもまた事実。
その熱さに触れる、そんなロンドン旅行はどうだろうか。