雨の日も次第に少なくなり、日の時間も長くなった。
陽ざしの強い夏はやはり、日焼けや肌荒れが気になるものだろう。
日焼け止めや化粧水、日傘など、多くのケアが存在するが、それらは “肌だけのケア” になっているとお気付きだろうか。
今年の夏は、東洋医学の知恵を活かして、カラダの内側から最適なスキンケアをしよう。
東洋医学でよりナチュラルに生きる
東洋医学とは約2000年前に中国で発祥した医学が、日本で発展した伝統医療である。
まだ顕微鏡が発明されていない時代に、体調の変化は、その土地の気候や季節に密接に関係するという考えが生まれた。
東洋医学では自然の移ろいと同じサイクルが、カラダの中でも起こっていると考えられているのだ。
生活においても同様に、春は種から芽生えるように新しいことを始め、夏は木々の成長にならってのびのびと過ごす。
秋は作物を収穫するかのごとく生活を振り返り、冬は蓄えるためにほどほどに暮らす。
自然と調和して暮らすことこそが東洋医学の本質である。つまり、季節によるカラダのケアはお手のものというわけだ。
あなたは夏をどう過ごしている?
近年の夏はどんな生活をしているだろうか。
年々暑さが厳しくなる中で、「すぐにクーラーをつける」、「なるべく外は出歩かない」、「冷たいものをたくさん食べる」といった生活スタイルが増えてきているのではなかろうか。
しかしながら、これらは自然の移ろいに沿った生活習慣とは決して言えない。
自然環境と合わない生活を過度に続けていると次第に体調が崩れ、夏バテなどを引き起こす。
普段の生活と、自然や気候とのギャップを上手に少なくしていく。季節に合った健やかな生活で、肌の調子は自然と良くなるのだ。
肌と保湿
夏はカラダの熱を下げるために、体内の水分が多く使われるため、肌には保湿が必要不可欠である。
化粧水や乳液などで気をつけている方は多いだろうが、カラダの内側からのアプローチはどうだろうか。
見落とされがちだが、実は身体が本来持っている保湿機能を正常に働かせることも重要なのだ。
東洋医学でみる保湿機能とは血液の巡りである。血液には肌に潤いや栄養を届ける働きがあり、夏の運動不足はこの血液の循環を滞らせてしまう。
暑くて動きたくない夏こそ水分補給と運動を活発に行い、肌のツヤを保つことが必要なのだ。
肌と熱
東洋医学ではカラダの中に熱があると考える。カラダが熱を溜めすぎることは、様々な不調を引き起こす。
ゆえに良い夏のためには、のびのびと熱を発散させることが欠かせないのだが、クーラーの効いた部屋でじっとしていると、カラダの中に熱がこもってしまう。
自然界でも上に行く性質がある熱は、体中でも上半身にこもりやすく、それによって肌荒れや頭痛、肩こりなどの症状が出てしまうのだ。
熱のバランスが偏ることで、こうした辛い症状が引き起こされるというわけだ。
そこで活発に活動して熱を発散させ、バランスを整えることが大切になる。
適度な運動によって血液が巡り、肌へのアプローチもできる。暑くて外に出るのが辛い時は、比較的涼しい明け方や夕方に体を動かすと良いだろう。
まずは散歩から始めて、カラダの内側の熱バランスを整えてみるのはいかがだろうか。
肌とお腹
暑い日は冷たいアイスや飲み物が欲しくなるものだ。
外出すれば冷いものが欲しくなり、家では毎晩のようにアイスを頬張ることが習慣だという人も珍しくない。
当たり前のことだが、冷いものをとりすぎるとお腹は冷える。
お腹を冷やしすぎると食欲が湧かなかったり、腸や胃の不調を起こしてしまう。
これは冷やし過ぎが原因でお腹の働きが正常に行われなくなり、消化不良を起こしている状態である。
東洋医学では、食べ物の消化を担うお腹は他にも様々な役割を持つとされる。エネルギーを全身に送る働きや身体に要、不要かを分別する働きなどである。
これはつまり、お腹が冷えることで消化以外の機能も同時に低下してしまうわけだ。すると身体は倦怠感を覚え、むくみがひどくなるなどの症状が全身に出てしまう。
もちろん肌にも影響を与える。
より良い血液を作ることが出来ず、肌への栄養分が滞ってターンオーバーが不十分になってしまうのだ。
よってスキンケアには、肌だけでなくお腹をいたわることも重要なのだ。冷いものを過度に取らないことも対策の一つだが、他にもご飯をよく噛んで、味わいながら食べることも有効なお腹のケアになる。
さらにキュウリやトマト、スイカなどはカラダの熱を程よく冷ましてくれるのでオススメだ。
冷たいもの取るのではなく、夏野菜を上手く摂取することで体温をコントロールし、カラダの内側から整えることができるのだ。
夏のキレイはカラダの内から
保湿や熱のバランス、お腹の調子から夏のスキンケアについて考えてきた。
スキンケアと言えば、「肌に何をどう塗るか」というイメージだっただろう。
しかし、ケアを必要としているのは必ずしも肌の表面だけではない。
むしろカラダ本来の機能に目を向けることが大切なのだ。
今年こそは季節の巡りにあった生活によって、夏を謳歌しつつ、ナチュラルなキレイを保っていこう。
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