最近、ジャケットやブレザーを羽織る人をよく見かける。ファッション好きなら知っている人も多いだろうが、2019-20シーズンの一大トレンドは “クラシック”、そして “フォーマル回帰” なのだ。
カチッとしたジャケットを着て、パンツにレザーシューズ、またはスカートにヒール…
「なんて窮屈な!」そう思うのは私だけではないだろう。
しかし安心して欲しい。
私たちを待っているのは新しい “Comfy Classic” だ。
近年、ファッショントレンドを席巻していたのは「ストリートテイスト」だった。シャカシャカのナイロンジャケットにスニーカー、と言ったルックが人気を博した。
ストリートの何がそんなにも人々を惹きつけるのか、その理由の一つに「ゆるさ・楽さ」がある。
ゆったりとしたスウェットに、歩きやすいスニーカー…
「まるでパジャマで外に出て来たよう!」とは言い過ぎだが、多くの人がレザーシューズやヒールではなく、スニーカーを選ぶようになったのである。
最新のクラシックトレンドも、こうしたストリートの良さが生かされている。
スーツはストリートを意識した大きめシルエットが多く、足元にもスニーカーやサンダルが合わせられている。
ワンピースやドレスも、ゆったりとしていて着やすいのにちゃんとエレガントに見える、という物が多い。
“着る人が苦にならない”という点が重要だ。
メンズもレディースも全体的に、“気張らず、エフォートレスなフォーマル”というムードが強い。
これなら、スウェットにスニーカーの楽さを知ってしまった人にも、すんなりと受け入れられるだろう。
またミレニアル世代にとっても、大人過ぎることなく、挑戦しやすいのではないだろうか。
ここ数年のストリート最強状況は、確実にエレガントムードへ移行しつつある。ストリートに飽きてきた大人たち、何か新しいものを期待する若者たちが、次のファッションを探しているのだ。
また、ストリート時代にヒートアップしていた「SNS映え」に対する疲れもクラシックへの移行を後押ししている。
パッと目を引く派手なデザインでアイコニックさを競うことに、人々が疲れてきているのだ。
これから求められるのは、見た目の華やかさではなく、「本当の質の良さ」だ。
ブランドヒストリーや、その一着に込められた製作者の想いなど、目に見えない価値にも注目していきたい。
それこそが本質を理解した、本物のファッショニスタではなかろうか。
またファションを機に、生活の質を見つめ直すのもいいかもしれない。 上質な素材を使った、着心地の良い服は私たちに自信と安らぎを与えてくれるだろう。