旅の一枚の写真と、それにまつわる唯一無二のストーリー。そんな自分だけの(=own)旅の記録(=graphy)を集めたギャラリー「Owngraphy」。
「インドに行ったら人生観が変わる」
旅好きの人の間では決まり文句のように言われてきた言葉に、私も以前からすっかりその気にさせられていました。世界観が変わるなんてよっぽど衝撃的な場所なんじゃないかと、とても興奮していたのです。幼い頃から生や死についてふと考えている事が多かったので、インド、それも特に聖地バラナシは絶対に学生のうちに行きたいという想いがありました。
インドに入って4日くらい経ってから、バラナシに着きました。インドに着いてすぐに路地でゴミ山と牛を見かけたりしていたので、インドの衝撃は体感していたつもりでした。しかしバラナシで火葬場を見た時は、それ以上の衝撃で胸が苦しくなりました。私と友人は、日本語を話せるインド人に火葬のルールを教えてもらいました。女性は火葬場に入ってはいけないので、私達が火葬場を見に行った時も親族らしき女性が私の隣で泣きながら火葬を見守っていました。生と死が共にあるガンジス川では、火葬が行われている一方で人々は川のほとりで洗濯をしていたり、カップルで勉強していたり、沐浴をしたりしていました。風に乗って流れてきたご遺体の煙を浴びながら、生や死について考えていたあの瞬間を、私は一生忘れないと思います。
これは火葬場から少し離れたところで見かけた、洗濯物をしているところの写真です。
ガンジス川では火葬場を見たり、早朝にボートに乗って朝日を見たり、サドゥーと呼ばれる修行僧たちを見たりしました。わたしが旅を好きな理由は、訪れる場所・見るもの全てがわたしにとっては非日常なのに、それは誰かにとっての日常なんだという奇妙な感覚になれるのが好きだからです。今回も私たちは聖なるガンジス川を前に、とても緊張して神妙な面持ちになっていました。しかしこの洗濯をしている光景に出会い、なんだか拍子抜けしてしまいました。とても特別な場所なんだという先入観と(特別な場所には変わりありませんが)、その生活感溢れる光景のギャップが衝撃的で、すごく印象に残っています。